fujitmi’s blog~地球を抱く〜

こんにちは、藤堂ゆきおです。普段はなろうとカクヨムさんで小説書いてます。興味ある事を書くだけの日記。

シェイプ・オブ・ウォーター観て泣きました。

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パンズラビリンスでお馴染み、ギレルモ・デル・トロ監督のシェイプ・オブ・ウォーターを観ました。以下ネタバレ含む感想になるので閲覧にはご注意下さい。

 

 

 

始まりから引き込まれました。舞台は50年代のアメリカ、ロシアと仲が悪かった時代。そして差別の酷かった時代。全体を通してお伽噺、詩的な映画だと思いました。

 この作品には喋らない人物が沢山出てきます。

まずは声が出せないイライザ、それからその親友のゼルダの無口な夫、そしてイライザと恋に落ちる不思議な生物(ここでは“彼”とします)、最後は両手使わずに用を足すリチャード(彼の場合は最終的にです)

 ゼルダは終始イライザに、無口で何もしない夫を愚痴ります。世話をしても、ありがとうの一言もない夫。

ゼルダはイライザが話せない代わりに、沢山話しかけてあげているのかなと思いました。ゼルダにとっての“彼”という存在がイライザだったのではないでしょうか。だからリチャードが脅しにきた時に、今まで無口だった夫に「あなたには分かりっこない」と言いました。

この作品の終わりの詩が全てを物語るように、これは色々な愛の形を描いた作品です。それも、相手から何も与えられなくとも、勝手に存在を感じる愛。これこそが本当の愛だとこの作品は言っています。

 例えばリチャードがイライザに対して抱いた愛は愛欲で、これは明らかにイライザに対して求めており、同時に自分の欲や我儘を押し付けてもいます。

そしてイライザの場合は“彼”に対して何も求めず、また“彼”もイライザに何も求めず、純粋に傍にいて癒やされる、楽しいといった心で感じる愛情です。

また、ジャイルズ(絵描き)がイライザに対して抱く愛は、恋愛ではないですが人間愛を感じさせます。しかしジャイルズの場合は必要とされたい、孤独を癒やしてほしいという渇きが根底にあります。ダイナーの店員に手を繋いだ時にも、自分を認めて愛して欲しい、分かって欲しいという受け身の愛だという事が分かります。

 この話の語り口はジャイルズなので、ジャイルズは最後の最後に、イライザ達の愛の形を見て愛とは何なのかを学びます。

そしてその愛の姿を見て、純粋に彼らの幸せを信じているのです。最後にジャイルズもまた、存在を感じるだけの愛を見つけたのではないでしょうか。

 

 日常のちょっとした笑いを交えていたので、肩も凝らずに観られました。愛について、考えさせられるというよりは教えられたような感覚です。お伽噺、ファンタジーに皮肉や社会情勢を交えて描くのはこの監督お馴染みですね。

ギレルモ・デル・トロ監督の新作映画も公開中なのでチェックしてみたいです。今回はお伽噺と現実とホラーが混ざったような物語です。楽しみです。「スケアリーストーリーズ 怖い本」動画の広告を貼りますので、是非チェックしてみて下さい。

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https://youtu.be/P9wrK2FsJuA