暴力と調和
どこからか、いつからか、世界がおかしなものに見えてしまった時に調和を求める材料として、「暴力」という甘くて刺激の強い飴を求めるようになったのでした。
暴力の蜜を一旦知ると、それが無ければきしきしと胸の不安に打たれて止まない。
寝ても覚めても暴力について考えていた。
優しさは返って毒だった。喉を掻き毟りたくなる思いがする。貴方は笑っていたが、私は貴方の怒った顔を見たかった。
人間が怒りに包まれると可愛いと思う。いつも彼等は人の振りをして獣の本性を隠しているのに、怒りを見せる時だけは本当の自分を晒すからだ。
そうして私は貴方を怒らせてしまいには沢山殴らせて、手酷く傷をつけてしまうのだ。
これを純愛と呼ばずして何と呼ぼう。
また調和を求めて探し惑う。
服を纏った獣達の間を歩こう。呼吸を止めてくれるのを待ちながら。